TEAM KUNIMITSUの監督としてチームを率いる一方、チームのデザイナーとして活躍する小島一浩氏にレーシングチームのデザインを聞く今回の企画。マシンデザインの前編に続き、後編ではマシンデザイン以外のデザインワークについての話を聞いた。
小島氏はTEAM KUNIMITSUのデザイナーとして、前編で触れたマシンデザインに加え、ドライバーのレーシングスーツやメカニックスーツ、スタッフや販売用のウェア類やグッズ全般、さらにピットのパーテーションや看板などサーキットで目に付くほぼすべてのTEAM KUNIMITSUのアイテムは小島氏によるものだ。
小島氏は、デザイナーとして「すべての物において、できるだけ新しく、強く、バランスよく見せるデザインを、自分のフィルターを通して作っていきたい」という想いを続けているとのこと。
レーシングスーツや耐火スーツなどのデザインで意識していることを小島氏に聞くと、マシンと同様にウェア類でも様々な局面において「強く・バランスよく」見えるようなデザインが大切。もちろん全てに関して、カッコよく作ることも大事だか、スポンサーロゴがしっかりと綺麗に見えることは大前提。デザイン性も含めてバランスよく見えないといけない。そこはクルマのデザインと一緒だと述べていた。
TEAM KUNIMITSUといえば、チームグッズは毎シーズン完売商品も多く、ファンの人たちの楽しみの一つともなっている。そのグッズ一つ一つも小島氏が監修やデザインを手掛けている。
TEAM KUNIMITSUのドライバーである牧野任祐選手は、ドライバー随一のおしゃれ好きとして知られるだけに「自分のキャップだけこの型で作ってください」とリクエストがきたこともあると小島氏が明かしてくれた。実際、牧野選手から言われたことがきっかけとなり、グッズにバゲットハットが追加されたというエピソードがある。
また小島氏は、専門学校桑沢デザイン研究所のドレスデザイン研究科卒業という経歴を活かし、デザインそのものは担当していないが、毎シーズンのレースアンバサダーのコスチュームについて、コンセプトを考案し、一連のディレクションを行う、近年のコスチュームは国内ブランドで修行後、独立した当時の学校の同級生達と製作を行っている。
ここまで、自身の経験をもとにTEAM KUNIMITSUのデザインについて語ってくれた小島氏。自身が持つデザインへの考え方について、商業デザイナーという観点で以下のように語る。
「私は画家やアーティストではありません。いちばんはクライアントやファンの皆様が良いと思ってくれるものを作ることが優先されます。時代のトレンドを含め、そのときに一番カッコいいと思われるデザインを全力で考え、それを生み出すことが僕の仕事です。デザインという産みの苦しみはありますけど、最後まで諦めず手を抜くことは絶対にしないようにしています。」
ただ、レースもデザインも共通して難しいところは、様々なデータや知識、過去の経験値などを含め、机上では『完璧に仕上がった』ものでも、いざ実際にことを進めて行くと何か違和感を受けてしまうことがある。小島氏はそんなときも自分の感覚を信じて対処したり、ギリギリまで考え抜く時間を重ねていくことが大事だと強い決意を込めて話を締めくくった。
最後にTEAM KUNIMITSUの監督とデザイナー、同じチーム内でふたつの顔を持つ小島氏。最後に、4月に新社会人になった若い人もしくはデザイン関係の仕事を目指す人にとって、必要なことやアドバイスを貰った。
「アドバイスというよりは・・・自分が今も、ものづくりで大切だと思っている事を話すと、日常生活で目に入ってくるののでいいな、かっこいいなって思うビジュアルを大切にしています。瞬時の感覚の中で、それがどうしてそう思うのかを改めて考えるようなアンテナをいつも張り巡らすことが、物を作り出すイメージ作りには役立っています。その感覚をいつも研ぎ澄ましていくことが必要ですね。そうやって作られていくセンスを信じて取り組むことが大事だと思います。プロなら当たり前のことなんですけど、限られた時間をどれだけ諦めずに手を抜かずに真剣に向き合えるかは、自分次第でいくらでも何とかすることができる。何事も考え抜くことにより、自分自身のコンセプト(意志)がどんどんと明確になってきます。
『またあの人と一緒にやりたい』『次回もあの人に任せたい』と思ってもらえるような仕事ができればいいかなと」
「そのような日を迎えるために若い時から自分を信じて全力で走り抜き、どんなことでも挑んでいくという姿勢が必要なんじゃないかなと思います」
前編/後編と2回に分けてお送りしたTEAM KUNIMITSU小島氏のデザイン論。ファンなら知っていた情報があったかもしれないが、小島氏はこれまで自身が手掛けたデザインやその考えを、チームスタッフを含めて公にしていなかった。今回の企画で小島氏とTEAM KUNIMITSUの新たな一面を感じ取っていただければ幸いだ。
■Profile:小島一浩(こじま かずひろ/株式会社チームクニミツ代表取締役社長)
専門学校桑沢デザイン研究所を卒業後、1996年にTEAM KUNIMITSU加入。マネージャー業と並行して車両やユニフォームなどのアートワークの総責任者として多くの作品を手掛ける。2010年監督に就任し、2018年・2020年にスーパーGT GT500クラスシリーズチャンピオンへと導く。高橋国光さん逝去後もチームを率い、2024年も監督としてスーパーGT GT500クラスで戦う。
]]>2024年シーズンが開幕し、初戦では沢山のファンの皆様の応援をいただき、表彰台を獲得することができました。ありがとうございました。
そして、第3戦鈴鹿大会でもサポーターズシートを開設することになりました。是非、メール会員の皆様も鈴鹿サーキットのチームクニミツサポーターズシートで応援しませんか!
是非、メール会員にご登録いただき、ご応募ください。
2024 第3戦鈴鹿大会「サポーターズシート」にお申し込みいただく際には、下記より、メール会員のご登録が必要となります。
※すでにご登録済み方は、メール会員サイトより、「チームクニミツ 2024 第3戦「サポーターズシート」お申し込みについて」をご確認ください。
皆様からのご応募をお待ちしております! ]]>今シーズンもこだわり抜いた2024年マシンカラー「ST24P02G」が完成いたしました。記念すべき2024年シーズンをこのマシンで戦います。
ファンの皆様もおなじみの「CIVIC TYPE R」がレーシングカーとなり、サーキットを走ります。
まもなく2024年シーズンが開幕します。2024年チャンピオン獲得を目指し、戦って参ります。
熱い応援をよろしくお願いいたします。
大変人気のウェアを一足先にオートスポーツWEBショップにて本日10日16時頃より販売いたします。
※販売開始時間は、予告なく変更となる場合がございます。
サイズによっては、在庫数がわずかな商品もございますので、お早目にお買い求めください。
右図:STANLEY TEAM KUNIMITSU 2024 NEWERA Tシャツ 価格 : 6,600円(税込)
左図:STANLEY TEAM KUNIMITSU 2024 NEWERA ポロシャツ 価格 : 11,000円(税込)
着丈 | 身幅 | 肩幅 | 袖丈 | |
S | 63cm | 47cm | 42cm | 18cm |
M | 68cm | 52cm | 46cm | 22cm |
L | 72cm | 55cm | 50cm | 22cm |
XL | 75cm | 60cm | 55cm | 23cm |
XXL | 80cm | 65cm | 59cm | 25cm |
]]>
ピットウォーク中に開催しておりますドライバーサイン会につきまして、多くのファンの皆様よりご意見やご要望をいただいておりましたので、運営方針について検討を進めて参りました。
そこで、貴重なピットウィークの時間に長時間ピット前でお待たせすることも多かったため、今シーズンより、ピットウォーク中にチームクニミツピット前にて、整理券を配布させていただくことにいたします。
【整理券配布時間】
2024年4月13日(土)12時20分~
2024年4月14日(日)9時50分~
※先着順となりますので、お早目にお越しください。
※サイン会は予告なく時間変更及び、中止する場合がございます。
整理券に集合時間が記載されておりますので、その時間になりましたらチームクニミツピット前へお越しください。
「No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT」タイトル奪還を目指し、強い気持ちで戦って参ります。
ご声援のほど、よろしくお願いいたします。
2024年 SUPER GT開幕まであと2週間。ファンにとっては長いオフシーズンに感じるこの時期の楽しみのひとつが、各チームの“新カラーリング発表”だろう。今回はGT500クラスに参戦するTEAM KUNIMITSUの監督としてチームを率いる一方、車両やウェア類のデザインを手掛けている小島一浩氏に、自身やレーシングチームのデザインプロセスについて、初めて聞いてみました。
小島氏は、日本で最初のデザイン教育機関と言われる専門学校桑沢デザイン研究所研究科を卒業後、1996年からTEAM KUNIMITSUにマネージャーとして加入し、現在は監督としてレースマネジメントおよびアートワーク面の総責任者を務める。
デザイン学校出身という経歴を活かし、レース系広告代理店のアルバイト時代から制作物やステッカーなどのデザインを手掛けていた小島氏。レース車両では1990年のインターナショナルF3リーグに参戦したミカ・ハッキネンとエディ・アーバインが駆ったCASIO TEAM WSRのデザインが最初の作品となる。
「自分のデザインに対して、話をすることは苦手ですが…」と言いながら、過去のデザインについて、話を始めた。 「あの頃はパソコンではなくて手書きだったので、ラルトRT34のサイドを写真で確認しながら手書きでロゴを入れたりしていました。当時は印刷もデジタルではないので、まずロゴを清刷から起こしてから貼ったりして、本当に“手書き”の状態でしたし、クライアントの依頼通りに描き起すだけでした。」
小島氏がTEAM KUNIMITSUのマシンを本格的にデザインし始めたのは、1996年にチーム加入後のRAYBRIGカラーのNSXから。その後TEAM KUNIMITSUのマシンを小島氏がすべてデザインしており、現在では、レースにおける最終決断を下す監督業をこなす一方で、チームのほぼすべてのデザインワークを考案している。
また、TEAM KUNIMITSU以外でも何件かクライアントを抱えており、レースカーのデザイン業務をこなしている。2024年も違うカテゴリーのレースに数台が参戦するとのこと。
多方面にわたりデザインを手掛けてきた小島氏に近年のマシンデザイン事情を聞いてみたところ、基本的には自動車メーカーから車両の5面図を貰い、イラストレーターに起こす作業から始まる。最近はデジタル技術が発達したため、マシンデザインでのラフ画は描かず、あくまで“俺流”だというが、小島氏は左サイドからデザインを考案するという。
「まずは“スポンサー様のロゴの置き方”が重要なので、ロゴを置いてから、どういうふうなイメージにしようかなどを考えながらデザインを始めます」とデザインの構想手順を語りつつも自分がレース運営もデザインワークもどこまで集中し、没頭できるかが大事だと噛み締めながら話をしていた。
2024年1月に新車STANLEY CIVIC TYPE R-GTのテスト専用カラー『ST24P01G』をお披露目した。今でこそTEAM KUNIMITSUのシーズンオフ専用カラーはファンおなじみのものになっているが、改めてテスト専用カラーが誕生したきっかけについて聞いた。
小島氏は「テスト専用カラーを初めてやったのが2010年のHSV-010になったときなんですけど、シェイクダウンの前にシート合わせに行った童夢さんで見たHSV-010が衝撃的にカッコよかった」と当時を思い出して少し興奮気味に語ってくれた。
「そのときに見たHSV-010はもちろんカーボン地のままだったけど『こんなレースカーが世の中にあるの!?』という衝撃を受けました。それで自分のなかに『このクルマは何かやりたいな』という思いが生まれ、もうすぐにでも何かを作りたかったので、当時で言う『ロービジ』カラーを作りました」
現在のTEAM KUNIMITSUのマシンカラーには、段階や進行を意味する『PHASE』というネーミングが用いられているが、当時はテスト専用カラーを『ロービジ(ロービジビリティー/低視認性)』と呼んでおり、これが現在に続くTEAM KUNIMITSUのテスト専用カラー誕生のきっかけだ。
「当時は公式テスト以外だったら結構好きなことができたので、ゼッケンの書体なども変更したりして、レース中ではできないことを表現していました。そういったことは他のチームはしていなかったので、メディアに取り上げられる回数も増え、スポンサーさんの露出増加にも繋がりましたね」
「テストカラーを作ると、本戦用カラーをより修正できるようになります。同じようなラインで作れば『もう少しこうしたい』『ロゴもこう配置できる』というイメージを作りやすいメリットがあります。そういったことを含めると、自分のなかでは本番に向けての良いステップになると思っています」
「ただ、そう考えるとテストカラーは本戦カラーをモノトーンイメージにしたものになるので、テストカラーお披露目のときには本戦カラーが概ね完成していないといけない。そういった意味ではデザインを考える期間が短くなってしまうので、簡単かと思いきやかなり大変な作業なんです。でも、これだけ長くにやってきましたし、期待してくれている多くのファン皆様もいるので、続けていきたいとは思っています」
小島氏が監督とデザイナーというふたつの立場から情熱を注ぐTEAM KUNIMITSUだが、マシンデザインの面では、2021年に大きな変化が訪れる。長年ともにレースを戦ってきたスタンレー電気株式会社のRAYBRIGブランドが終了することになり、メインブランドがSTANLEYへと変わり、マシンカラーが一新されることになったのだ。
RAYBRIGからSTANLEYに変わることで、マシンカラーはそれまでのブルーからシルバーとブラックを基調とするデザインに変更された。小島氏はシルバーの部分に、近年のクルマ業界で流行する艶消しの“マットカラー”の質感を取り入れたいと考えた。ただ、シルバーをマットにするとかなりトーンが落ちてしまうことから、試行錯誤を重ねた。
「シルバーの質感や太陽光で受ける光の反射とブラックのグラデーション、それに加えてオレンジとのコントラストをどうやってうまく出すか考えたとき、やはり少しマットを入れたかったです」
「そこで、メタル調のシルバーにラミネートを行う『セミマットラミネート』をかけることにして、質感を少しマット調に振りつつも、光を得ることができました。その結果、想像どおりの色を出すことができたと思います」
こうして完成したSTANLEYカラーは、現在まで続くカッコよくスタイリッシュなTEAM KUNIMITSUのイメージづくりに貢献していると言っていいだろう。
そんなTEAM KUNIMITSUでは、例えば昨年の本戦用カラーだと『ST-23P02G』、今年のテストカラーだと『ST24P01G』というある種のコードネーム的な名称を付けている。
この意味については、STがスタンレー、24が年度、PがPHASE(フェイズ)、そして末尾のGが「チャンピオンを“掴み獲る”」という『GRAB(グラブ)』から取られている言葉だ。
また、TEAM KUNIMITSUのマシンには2013年のHSV-010から、フロントバンパーに『シャークティース(またはシャークマウス)』と呼ばれる鮫の口が描かれている。 『クルマ自体をキャラクター化させて、レーシングカーに鮫のようなイメージを付けて、子どものファンを増やしたい』という思いからスタートした。今では、チームのキャラクターとして鮫(名称:RAY)を使用している。
2024年シーズンの本戦用カラーを発表していないため詳しくは言えないと言いつつ、小島氏はシビック・タイプR-GTを見るたびに処理方法を考えており、2024年のテストカラー『ST24P01G』でも、テストごとにデザインが異なっている部分があるということで、サーキットでマシンを見る際にはチェックしてみるのも良いかもしれない。
気になる2024年のSTANLEY CIVIC TYPE R-GTの本戦用カラーについては「強く、バランスよく」というイメージを踏襲。そのなかでも「いろいろなことを模索し、新しいテクニック」を取り入れたデザインになるとのことで、他チームとは違った見せ方をしている部分もあるため、正式発表を待ちたいところだ。
小島氏にTEAM KUNIMITSUのマシンデザインについて聞いた前編はここまで。後編では、こちらも小島氏がデザインを手掛けるドライバーやメカニック着用のスーツやウェア、グッズ、ピットまわりの装備品などを含めたデザイン論を紹介する。
■Profile:小島一浩(こじま かずひろ/株式会社チームクニミツ代表取締役社長)
専門学校桑沢デザイン研究所を卒業後、1996年にTEAM KUNIMITSU加入。マネージャー業と並行して車両やユニフォームなどのアートワークの総責任者として多くの作品を手掛ける。2010年監督に就任し、2018年・2020年にスーパーGT GT500クラスシリーズチャンピオンへと導く。高橋国光さん逝去後もチームを率い、2024年も監督としてスーパーGT GT500クラスで戦う。
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