前大会から今回の鈴鹿戦までのインターバルは僅か3週間。今シーズン、鈴鹿で2度目となる450kmレースを前に、チームでは万全の体制で臨むべく、慌ただしく準備に追われた。
サポートレースでアクシデントがあり、スケジュール進行が5分遅延。公式練習は、午前9時20分にスタートした。気温33度、路面温度39度の中、各車が続々とコースへ。No.100 STANLEY NSX-GTには山本尚貴選手が乗り込み、持ち込みのセッティング確認からセッションをスタートさせる。
なお、もうひとりのチームドライバー、牧野任祐選手は1週間前の全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦もてぎの決勝レースにおいて多重クラッシュに巻き込まれ、負傷。インパクトある大きな事故だっただけに、大事に至らなかったのは幸いだった。結果として、今大会の欠場は免れることになったが、一部の走行セッションを見送ることに。これに関しては、レースウィークを前にチームがリリースを発表。日曜のみ走行を行うことを明らかにしている。よって、公式練習および予選は山本選手のみの出走となったが、チームは一丸となって、ベストを尽くそうと一層気を引き締めた。
ひとりで公式練習を担当することになった山本選手。持ち込みのクルマのフィーリングを確かめながら、セッティングの微調整を重ね、タイヤ選択やロングランなど、次々とプランにそって仕事を進めていく。まだ路面温度が高くならないうちに1分49秒0台のタイムをマークし、その後もピットでの調整作業を重ねるなど、改善を続けた。その後、GT500クラス専有枠でアタックシミュレーションを行い、1分48秒843のタイムをマークし、10番手へ。サクセスウェイトの関係で、ワンランクダウンの燃料流量リストリクターを装着しながらも安定感ある走りを見せている。
公式練習では40度止まりだった路面温度だが、午後3時を過ぎて始まった予選になると、50度超に。GT500・Q1の出走時には、気温32度、路面温度51度のタフなコンディションとなる。アタックラップに向けてタイミングを合わせていく山本選手。チェッカーフラッグが振られる中、ワンラップアタックで刻んだタイムは1分47秒277となり、5番手に滑り込む。しかし、後続車がこのタイムを上回ったため、No.100 STANLEY NSX-GTは8番手でセッションを終えている。また、牧野選手がQ2未出走となるため、No.100 STANLEY NSX-GTは決勝を8位からスタートすることになった。予選日のテストメニューを順調にこなせたことを踏まえ、決勝での力強い戦いが期待にかかる。
ひとりで公式練習、予選アタックをこなす重責にもかかわらず、”燃リス”ダウンの車両を巧みに操り、8番手を手にした山本選手。「順調にテストメニューを済ませることができた。牧野選手からのフィードバックがない分、チームとしての戦力を失う部分もあったが、タイヤ設定、セットアップの方向もしっかりと定めることができた。ギリギリの戦いからQ1を突破できたので、非常にいい予選だった」と安堵しつつ、満足気だった。一方、予選日を”見守る”かたちとなった牧野選手は「(未出走となった)Q2のセッションを不思議な感覚で見ていた」と言いつつ、「決勝は走るので8番手から追い上げます!」と躍進を誓った。