雨の予報が出ていたもてぎ周辺。朝一番のサポートレースから完全なウエットコンディションとなり、SUPER GTの公式練習が始まる午前9時の時点でもその状況が変わることはなかった。スタート早々からコースアウトした車両によって、セッションは赤旗中断となり、その後も似たような状況が続くなど終始落ち着かない展開に。よってウエットタイヤの性能チェックやセットアップなど、”やるべきこと”が思うように進まず、時間だけが過ぎていった。
開始からおよそ1時間、増えた雨量のなかで1台の車両が停止し、4度の赤旗が提示される。一方、No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTはひと足先にセッション開始からドライブを担当していた山本尚貴選手がまず1分56秒488のチームベストを刻んで9番手につけており、この赤旗を前にしてピットでのセットアップ行なっていた。再開後には、新たに牧野任祐選手がコースイン。アウトラップを経て計測2周目のアタックラップで1分50秒292を刻み、トップへ。だが、その直後には5回目の赤旗が提示されてセッション中断に。結果、これをもって混走セッションが終了する。
その後、GT300クラスの専有走行が始まるも、強まる雨脚に走行は難しく、スピンアウトする車両が出て赤旗に。結局GT300クラスだけでなく、予定されていたGT500クラスの専有走行もキャンセルに。なお、混走セッション最後に64号車CIVICが最速タイムを更新したため、No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTはセッションを2番手で終えることとなった。
降り続ける雨に、公式練習後に予定されていたFCY(フルコースイエロー)テストもキャンセルとなり、午後からの予選セッションへの影響も心配されたが、ほどなくして雨は小康状態へ。お昼時間のピットウォークは無事に実施され、ドライバーふたりは束の間ではあったが、ファンとの交流を楽しんだ。
予選は午後2時にスタート。まだ雨は依然として降り続いている。なお、今回のセッションはウエット宣言下で行なわれるため、装着するタイヤ本数には制限は設けられない。Q1とQ2における各ドライバーのベストタイムを合算して、決勝のスターティンググリッドを確定する方式で進められた。
気温17度、路面温度19度ということもあり、GT300クラスから始まった予選は、雨で冷えた路面に苦戦する車両も見受けられる状態。このあと午後2時53分にはGT500クラスのQ1がスタート、牧野選手がNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTに乗り込みコースへと向かった。ライバルよりも早めのタイミングでアタックを始めると、最初のアタックラップで1分50秒898をマークしてトップに立つ。さらにもう1周アタックへと挑んで1分50秒445へとタイムアップ。ライバルたちも自己ベストを刻む走りを見せたことで、最終的には6番手でQ1を終えた。
Q1終了からおよそ45分後の午後3時49分、Q2がスタート。今度は山本選手がステアリングを握ることになる。第6戦SUGO、第7戦オートポリスでは各チームベストタイムの結果をもってスターティンググリッドが確定する形であったため、合算タイムでのセッションは第4戦以来(第5戦は延期)となる。Q1での牧野選手からのインフォメーションをもとにQ2へと臨むなか、残り3分強で1分49秒932のトップタイムをマークして流れを作ると、ラストアタックで自己ベストを更新する1分49秒897をマーク。結果、Q1、Q2合算タイムによってNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTは9番手から、翌日の300km決勝レースに挑むこととなった。
シリーズ争いが佳境を迎えるなか、予選結果を受けて山本選手は「苦しいレースになりそうですが、がんばって追い上げたいと思います」、また牧野選手も「明日はドライコンディションになると思うので、お客様も快適にレースを見ていただけると思います。なんとか追い上げられるようにがんばるので、応援よろしくお願いします」とふたり揃って闘志を内に秘めるようにコメントした。
今大会では、No.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTのほか、ランキング争い中の2台がサクセスウェイトと燃料流量リストリクター径を1段階調整したものを使用して戦う。特にランキングトップ車両とのポイント差をこれ以上広げず、最終戦へと持ち込みたいチームとしては、攻めの走りで好成績を狙っていきたいところだ。ドライコンディションへと変われば、状況によって総体的にパワーバランスにも影響が出ることは間違いない。そのなかでまずはミスなく与えられた仕事を完璧にこなし、結果を求めていきたい。