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ROUND -7 2018 AUTOBACS SUPER GT Round7 AUTOPOLIS GT 300km RACE
序章
 10月20、21日、大分・オートポリスにおいてSUPER GTシリーズ第7戦「AUTOPOLIS GT300KM RACE」が行われ、チームクニミツのNo.100 RAYBRIG NSX-GTは予選で3番手につけ、決勝ではセーフティカーランが入る展開の中、粘り強く攻めの走りを続けることで5位でチェッカー。

シリーズタイトル争いにおいて、ポイントランキングトップのまま、シーズン最終戦を迎えることになった。

 昨年は初夏を前にした5月に開催されたオートポリス戦。今年は秋深まる10月に決戦を迎えることになった。阿蘇山麓に位置するサーキットは朝晩こそかなり冷え込んだが、日中は眩しい日差しが照るなど秋晴れのレース日和に恵まれる。

土曜朝の公式練習では気温11度、路面温度15度という低さだったが、1時間45分後のセッション終了時には気温17度、路面温度30度まで上昇。午後からの予選に向けてセッティングはもとより、選択するタイヤの見極め等、チームでは様々な作業に取り組んだ。
まず山本尚貴選手がNo.100 RAYBRIG NSX-GTに乗り込み、クルマをチェック。セットアップを続け、3番手のタイムをマークする。また、オートポリスで初のレースを迎えるジェンソン・バトン選手はセッション開始からおよそ1時間後のタイミングでドライブを開始。

終盤のGT500専有走行時にもステアリングを握り、終盤のアタックシミュレーションで1分33秒615のタイムをマークし、5番手で走行を終えた。


予選:
 午後2時30分、まずGT300クラスのノックアウト予選が始まる。この時点で気温は15度、路面温度は34度とさらに路面温度が上昇。クルマ、タイヤのポテンシャルをいつも以上にうまく引き出すことが求められる。

GT500のQ1もほぼ同じような路気温の中で進められ、まず最初にジェンソン・バトン選手がNo.100 RAYBRIG NSX-GTへ乗り込んだ。

各車、セッション開始時間を迎えてもピットを離れることなくコースインのタイミングを調整していたが、開始からおよそ6分が経過したころ、1台、また1台とピットを離れ、ジェンソン・バトン選手も4番手でコースインを果たす。
ジェンソン・バトン選手は計測2周目に1分32秒854を刻み、暫定トップへ。しかしその直後からライバルたちもタイムアップしたため、結果、5番手でQ1突破となった。

 GT300クラスのQ1で赤旗中断となったことから、セッション全体が4分遅延。結果、GT500クラスQ2予選は午後3時37分にスタートした。与えられた時間は10分だったが、残り時間8分を切った頃からコースインが始まる。
その中で山本尚貴選手は7番目にコースイン。残り時間6分強の中でアタックに挑んだ。各車コースレコードを更新しながらのアタックが繰り広げられる中、山本尚貴選手も各セクターで自己ベストタイムを更新する走りを披露。マークした1分32秒151のタイムはコースレコード更新となるものではあったが、トップタイムには及ばず、3番手となった。

予選トップ3をNSX-GT勢が独占したアタック合戦。
Q1を担当したジェンソン・バトン選手は「僕たちはよく頑張ったと思う。僕らだけ燃料流量リストリクターの制限があるので、ストレートスピードが足りないけれど、このポジションからだったら決勝でもいい走りができると信じている」と手応えを感じていたようだ。

一方、アタックラップで勢いあまりジェットコースターストレートから続く超高速コーナーでややオーバーランとなった山本尚貴選手。「朝のセッションでタイヤの確認をしたとき、予想よりも路気温が低く、コンディションがあまりよくありませんでした。ただ、予選に向けていいアジャストはできたと思います。一方、Q2では行き過ぎて飛び出してしまい…。もったいないことをしたと思います」と、悔しさを隠し切れないでいた。


決勝
 予選日よりも澄み渡る青空が辺り一面に広がったオートポリス上空。早朝から多くの観客がサーキットに集い、大詰めを迎えたシリーズ戦の行方を見守ることとなった。
午後2時、大分県警の白バイ5台、2台のパトロールカーが先導する形でパレードラップが終わると、そのままフォーメーションラップに入り、午後2時6分、65周に渡る戦いが幕を開けた。

 気温17度、路面温度36度と前日とほぼ同じようなコンディションの中、No.100 RAYBRIG NSX-GTを含む上位3台のNSX-GTは予選でソフトタイヤを選択していたが、その背後につけるレクサス勢はミディアムタイヤ。
この差がレース序盤から早くも出始める。スタートドライバーを務めたジェンソン・バトン選手は懸命に応戦するも、5番手にポジションダウン。しばし攻防戦の中で”ガマン”の走行を強いられた。

 開始から30分あまりが過ぎ、トップ車両が19周目走行中にGT300クラスの1台がコースアウト。
コースサイドにクルマを停止させてしまう。これにより、20周目にセーフティカー(SC)がコースイン、各車の差がリセットされることとなった。

SCランは4周に及び、その間にルーティンのピットワークが可能になったため、No.100 RAYBRIG NSX-GTはSCラン終了の同一周である24周目にピットインを敢行。38.8秒という速さで一連の作業を終えると山本尚貴選手がコースイン、No.100 RAYBRIG NSX-GTの足元には、追い上げのためにミディアムタイヤが装着された。

 このあと、ライバルが続々とピットインを行う中、山本尚貴選手は”見えないライバル”との差を詰めるべく、猛プッシュ。
さらにルーティンワークを終えてコースに復帰した目前のNSX-GT勢攻略を開始する。まず、41周目の最終コーナー立ち上がりで8号車を逆転、さらに42周目の第2ヘアピンで17号車をパス。これでポジションを5番手まで戻した。

 その後は前を走るレクサス勢を追い続けて周回を重ねたが、4番手38号車との5秒近い差が思うように縮まらない。それでもなお猛攻の手を緩めず、攻めの走りで僅差に詰め寄ったのだが…。惜しくもポジションアップは果たせず、結果5位でチェッカーを受けた。
タフな戦いを凌いだNo.100 RAYBRIG NSX-GT。今大会で6ポイントを計上し、依然としてランキング暫定トップはキープしている。

 一方、ランキング2位に浮上したレクサスの1号車とは同ポイントになった。優勝は100号車と同じ1回だが、100号車は2位を2回獲得しており、ランキングでは優位になる。
しかしながら、シリーズチャンピオン実現のため、レースで真っ先にチェッカーを受けて戴冠することを第一目標に、最終戦のもてぎに一心不乱で挑んでいく。




高橋国光総監督
 昨日の予選の状況から見ると、ホンダ勢としてもう少し掴みどころのあるレースができたのではないかと思いましたが、そう簡単にはいきませんでしたね。そういう苦しい展開の中で、ドライバーは頑張って追いつこうという走りを見せてくれたと思います。

冷静な判断が出来ていたし、その中でしっかりと両ドライバーが走っていました。少しでも上のポジションに行こう、という思いが形になってしました。

 チームとしては、クルマをよく仕上げてくれたと思います。 ランキングトップで最終戦に向かうことになりましたが、なんとかタイトル獲得を実現させたいですね。
山本、バトン両選手のコンビでチャンピオンになれたら、多くのレースファンのみなさんがうれしく思ってくれるでしょうから、そんな結果を残せたらいいなと思います。引き続き、応援してください。




山本尚貴選手
 決勝では、ある程度苦戦することは予想していました。一方で、レクサス勢、とくにトムスの2台が速かったですね。その中で予選で僕らの前にいたホンダの2台があれほど苦戦していたのを見ると、僕らがホンダ勢としてトップでゴールできて、ポイントも獲れたということは良かったと思います。

チャンピオン争いでは、1号車と同点にはなりましたが、今回のレースの展開を見ると、同点で済んで良かったと捉えています。

 レースではセーフティカーが入る展開になりましたが、その後のピットインのタイミングが正解だったかどうかはわかりません。もっといいものがあったかもしれませんが、僕らとしてベストは尽くせたと思っています。チームとしてみんなが最善の戦いをしたと思います。今回の決勝に向け、攻めの走りをしてもそれに応えてくれるクルマを作ってくれたチームに感謝しています。

 最終戦のもてぎでもそういうクルマ作りができればいいと思います。
もちろん、最終戦でもいいレースができるよう、引き続きチームと頑張ります。


Jenson Button選手
 今回、決勝スタートでNSX勢はみんなソフトタイヤを装着してスタートしましたが、その分、レースはタフな戦いになってしまいましたね。

渋滞の中での走りになっただけでなく、僕らは周りよりも1リスダウンのリストリクターを装着していたので、ストレートでポジションキープすることが極めて難しい状況でした。

対して、レクサスはミディアムタイヤで速さがありました。ただ、その中でなんとか頑張って踏ん張れたことは良かったと思います。

後半スティントの(山本)ナオキは、ミディアムタイヤでしっかりと走ってくれました。
速いレクサスを頑張って追ってくれたと思います。厳しい中でもNSX勢として結果を残すことができたのはうれしいことです。

最終戦に向けてタイトル争いはポイントで接近することになりましたが、ハンディがない状態でいい戦いができると思うと楽しみです。




小島一浩監督
 予選では2台のNSX-GTに先行されましたが、決勝で粘り強い戦いができました。この結果が出せたのはチームの総合力だと言えます。前回のSUGOよりも厳しい状況の中でこの力が出せたことがすごく大事でしょう。確かに予選よりも順位は下がってしまいましたが、ホンダ勢として前に行けたし、結果を残すことができたのでひと安心しています。

スタート時のタイヤがソフトだったので、ミディアムでペースを上げているレクサス勢との状況をリセットしたいという考えがあり、周りよりも早いタイミングでピットインすることを決めました。正直、セーフティカーに関してはチーム的にやや繊細になっていることもあるので、セーフティカーラン明けで早めにピットインさせよ うということになりました。実のところ、ミディアムタイヤでのライフが未確定だったのですが、先にレクサス勢の走りを見て、大丈夫だろうと判断し、装着を決めました。8号車、17号車としっかり抜いてきてくれたのですが、あれが今大会でのターニングポイントでした。

シリーズ争いでは2番手と同ポイントになってしまいましたが、チャンピオン争いは甘いものじゃないし、このレースこそ泥臭い戦いをしないとタイトルは手にすることができないと思っています。
最終戦では自滅することなく、どのチームよりも1点でも多くポイントを獲る戦いをしないといけないですね。引き続き頑張って戦っていきます。


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