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ROUND -1 2018 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE
序章
 2018年SUPER GTシリーズがついに開幕。4月7、8日には、その初戦「OKAYAMA GT300km RACE」が岡山県・岡山国際サーキットにおいて開催された。急激な天候の変化で連日冷たい風が吹く肌寒い天気になったが、チームクニミツのNo.100 RAYBRIG NSX-GTは予選5位からスタートを切り、決勝で2位表彰台を得る好発進を見せている。

   オフシーズンには国内外のサーキットでテストを重ね、クルマの開発やセットアップ、タイヤのマッチング確認等、時間をかけて多くの作業に取り組んできたチームクニミツ。今シーズンはチームドライバーに元F1ドライバーのジェンソン・バトン選手を迎え入れ、山本尚貴選手との新たなコンビネーションで戦うことから、レースファンからの注目度もよりいっそう高くなる中でさらなる飛躍のシーズンにしたいところだ。

 予選日を迎えた岡山は、気温がぐっと下がり花冷えの一日となる。また、強い風が灰色の雲を運び込み、雨が降ったり止んだりを繰り返した。朝の公式練習は、まずドライコンディションでスタート。気温8度、路面温度10度という想定外の寒さの中、No.100 RAYBRIG NSX-GTに乗り込んだのはバトン選手。すぐに山本選手へと交代し、周回を重ねていく。だが、開始30分を過ぎて提示された赤旗中断を機にピットインしたクルマはすぐさまガレージへと収められ、メカニックによる作業が始まった。ギアボックスからオイル漏れが見つかっており、その修復が必要となったためだ。

 1時間25分に渡るGT300クラスとの混走時間のほぼ大半をピットで過ごしたNo.100 RAYBRIG NSX-GT。ようやくコースへと復帰したのは、ほどなくしてGT300クラス専有走行が始まる直前となってしまったが、再びステアリングを握った山本選手がマシンチェックを兼ねて一旦コースへ。その後、GT500クラス専有走行を待った。だが、その専有走行を前にすでに雨が降っていたため、チームとしては予選に向けての最終確認ができないままセッションを終える事態となってしまった。


予選:
 午後からのノックアウト予選を前に雨が上がり、路面コンディションも徐々に回復。午後3時5分にスタートしたQ1はドライコンディションでのアタックが可能となった。気温10度、路面温度16度の中、No.100 RAYBRIG NSX-GTに乗り込んだのは、山本選手。他車が次々とコースへ向かう中、チームクニミツではチェッカーまで残り時間11分を切る頃に山本選手をコースへと送り出した。

 公式練習でのトラブルにより、タイヤの確認が充分に行うことができなかったが、公式練習後に行われたサーキットサファリ中のフィーリングを元にアタックへと挑んだ山本選手。まさしくぶっつけ本番のノックアウト予選となる中、これまでの経験値を最大限引き出すアタックを見せてラップ毎にタイムアップを果たす。そしてラストアタックで1分18秒332のタイムをマーク。これが2番手となり、見事Q1突破を成し遂げた。

 Q2は午後3時48分にスタート。このセッションを前に雨が降り出し、路面はウエットコンディション。気温7度、路面温度12度と数値も下がる中、バトン選手はシーズンの初アタックをウエットタイヤで挑むことに。路面は濡れているものの、雨は止んだ状態。いかにうまくタイヤを発動させるかがカギとなる中、バトン選手は他車に続くような形でコースインし、最後のアタックで自己ベストタイムとなる1分27.985をマーク。5番手のポジションを手にしている。

 山本、バトン両選手による初予選を終えたチームクニミツ。朝のトラブルを経て臨んだ予選を振り返った山本選手は、「ドライタイヤで走る時間がなかったので、どうなるか気がかりだった」としながらも、Q1では2番手のタイムをマークしたことを受け、「チームの力を感じた」と手応えを感じていたようだ。「予選に向けてチームがうまくクルマを用意してくれました。タイヤの内圧含め、クルマの調子もほんと良かったので、あのタイムが出たと思う」と言い、決勝では「この先のシーズンにつながるようなレースをしたいし、その中でいい結果を出せたらラッキーだと思う」と長いシーズンを見据えた思いを口にした。

 一方、初のノックアウト予選を終えたバトン選手。「不安定な天気でしたが、その前に僕らのクルマにトラブルが出て、それ自体が不安定な状況でした」と苦笑い。「でも予選で5番手という結果を手にすることができてうれしい。今回、ウエットタイヤを着けたのはサファリの時間帯に少しだけ。だからぶっつけのアタックでした。でも考えようによっては、あのコンディションだったからこそ5番手になれたかもしれない」と冷静に分析。「いい位置からスタートが切れるので楽しみ」と決戦に意欲を見せた。




決勝
 決勝日のサーキットも引き続き寒い一日に。また、冷たく強い風が雨雲を運んだのか、正午前にはみぞれ混じりの雨が降るなど季節外れの天気となった。幸い、午後2時40分に幕を開けた決勝レースは陽射しも戻り、ドライコンディション下でスタート。82周先のチェッカーを受けるまで、雨が降ることはなかった。

 気温11度、路面温度22度の中、予選5番手からスタートを切ったNo.100 RAYBRIG NSX-GT。バトン選手は後方からポジションアップしてきた2台のGT-R勢、さらに1台のLC500の先行を許し、オープニングラップを8番手で終える。レース序盤、前後車両との差が1秒前後という緊迫したシチュエーションで、バトン選手はまず前方車両の猛追にフォーカス。だが11周目には後続車両の逆転を許し、その後は9番手で周回を重ねていく。レースは20周を過ぎ、オープニングラップでのジャンプスタートに対し、2台のGT-Rにペナルティが出る。これによりNo.100 RAYBRIG NSX-GTは7番手へ。バトン選手はその後もタイヤコントロールを意識した走りを続け、36周を終えてルーティンのピットインを行った。

 山本選手へとドライバー交代をする一方、ピット前のメカニックたちは給油はするものの、装着タイヤをチェックするだけで交換のそぶりは見せず。なんと今回、チームではタイヤ無交換を敢行。よって、後半のスティントを担当する山本選手はチェッカーを受けるまでの間、タイヤマネージメントを意識した走りを求められたが、この戦略をもってチームには待望の追い風が吹き始めた。

 まだピットインしていない前方車両を除き、この時点で暫定トップとなったNo.100 RAYBRIG NSX-GT。その背後から詰め寄った17号車のNSXとはバックストレートエンドからヘアピンでサイド・バイ・サイドとなり、惜しくも逆転を許したが、前半トップを走行していた1号車のLC500を封じ込むことには成功。2番手で後半へと向かっていく。当初、3秒近くあったトップ17号車との差が周回を重ねて終盤にはおよそ1秒半まで短縮。しかしNo.100 RAYBRIG NSX-GTもタイヤのピックアップやエンジンのアラームが点灯するなど、ペースアップするには厳しい状況。結果、2位キープのままチェッカーを受け、今シーズン初戦の戦いを終えることになった。

 いきなりのメカニカルトラブルからスタートしたNo.100 RAYBRIG NSX-GTの開幕レース。だが、予選5位から決勝2位という好成績を残すことに成功した。5月には富士、鈴鹿と連戦が待ち受けるだけに、なんとしても初戦で築き上げた流れをうまく活用したいところだ。




高橋国光総監督
 決勝では、タイヤ無交換を行うという実にいい判断が結果につながったと思います。考えてみたら、このサーキットはコンパクトであり、路面のミュー(摩擦係数)もさほどに高くないのですが、うちのチームがチョイスしたタイヤならいける(戦える)、と踏んだのではないでしょうか。ドライバー、エンジニアらの判断がとても良かったと思います。その結果、2位表彰台に上がり、またトップとさほど変わらない位置でチェッカーを受けることができたので大変うれしく思います。

 バトン選手も、今回のようなとてもタフな戦いを経験し、SUPER GTならではのレースの難しさを感じてくれたと思うので、今後ますますがんばってくれるのではないかと思います。山本選手とのレース展開も楽しみです。皆さんにもたくさん応援していただけたらと思っています。


山本尚貴選手
 目の前に17号車がいて、これを抜けば優勝だ! と思っていました。なのでそれができなかったのは非常に悔しいのですが、前半のJB(ジェンソン・バトン)のスティントと今週末の流れを見る限り、まさか2位になれるとは思いませんでした。確かに欲深く考えると優勝して終わりたかったと思いますが、その一方では、チームとしてもHondaとしても、上々のシーズン滑り出しができたのではないかと思います。

 レースでは、エンジンアラームが残り15周の時点で点灯してしまいました。加えてペースも上げづらかったし、タイヤのピックアップも出てきました。今回、タイヤ無交換をしたのですが、前半のポジションから大きくステップアップするにはタイヤ無交換しかないと思ったから選択しました。周りは『なんでそんなとこにいるの!?』という感じだったと思います。でも、無交換ができたのはチームのみんなのおかげでもあるので、うまく結果を残せて良かったです。次の戦いにつながるレースになりました。


Jenson Button選手
 今日は、ほんと”クレージースタート”の幕開けになりました(笑)。たぶん、スタートに関するルールが厳しくなったせいか、大混乱という感じになったのでしょうね。僕の後から2台のクルマ(GT-R)が横に並んできたのには驚きました。そんなこともあって、オープニングラップでは8位までポジションを落とすことになってしまったんです。

 一方、レースそのものはいい流れの中で走れたと思います。それからチームの戦略(タイヤ無交換)も大変興味深いものでした。結果的には、それがいい結果を招きました。みんなすばらしい仕事をしたと思います。僕にとってフル参戦最初の開幕戦で、いきなり表彰台に上がることができたのでとてもうれしいです。


小島一浩監督
 土曜日は、朝からいきなりメカニカルトラブルが発生し、予定していたメニューを消化できずにいたのですが、予選で5番手という良い結果を得ることができました。不安定な天候でのセッションが長く続いたので、仮にトラブルがなかったとしても予定どおりのメニューができなかったと思いますね。トラブル解消に向けてスタッフががんばって間に合わせてくれたところに、体制2年目としての成長を感じることができました。

 チームとして、Q1はJB(バトン選手)で行く、ということをまず最初に想定した上でプランを立てていました。一方で、不安定な天候でどのタイヤを選択するかという難しい作業もありましたが、無交換作戦は選択肢のひとつとして準備ができていました。今年はタイヤのパフォーマンスも向上しているので、いいチャンスに繋がったと思います。トラブル発生後もうまくチーム力を引き出すような戦いができたのは、ドライバーはじめ、現場のメカニック、スタッフによる総合力があればこそ。開幕戦で掴み取った流れに乗り、次の富士戦でも好結果を狙えたらと思います。


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