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ROUND -7 2017 AUTOBACS SUPER GT Round7 Chang SUPER GT RACE
序章
 10月7、8日、タイ・ブリラム県にあるチャン・インターナショナル・サーキットにおいてSUPER GT 第7戦「Chang SUPER GT RACE」が開催された。
タイでのSUPER GT開催4年目となる今年、No.100 RAYBRIG NSX-GTは予選13番手からスタートを切ることになったが、不安定な天候を味方に、また持ち前の粘りと勝負強さを発揮し、7位でフィニッシュ。6戦連続でポイント計上を果たしている。

真夏の三連戦を終え、ついに今シーズンのSUPER GTも終盤戦を迎える。その最初の舞台がタイでの一戦。蒸し暑さの残る気候の中、今年は不意打ちを喰らうような突然の雨に翻弄されるレースウィークとなった。そんな中、ライバルよりもややウェイトハンデがじわりじわりと足かせとなる状態のNo.100 RAYBRIG NSX-GTは厳しい戦いに敢えて挑むことになったが、与えられた条件の中でいかに実力を発揮すべきか、チーム一丸となってタフな状況に立ち向かうことになった。

迎えた土曜日朝の公式練習。気温28度、路面温度33度と例年よりはやや暑さが緩和された状態の中、クルマのチェックを兼ねた走行がスタートする。この日は朝から雨が降ったり止んだりの状況で、路面がウェットの中、セッションがスタートしたこともあり、思うように用意したメニューを消化できない状態だった。
No.100 RAYBRIG NSX-GTは、序盤トップ10位内での走行を続けていたが、終盤に入ってタイムアップするライバル達に比べ、ベストラップの伸び代が少ない状態。12番手となる1分24秒967のタイムを山本尚貴選手がマークし、やや課題を残したままセッションを終えることになった。


予選:
 朝の不安定な天候は、午後の予選を迎えても多かれ少なかれ影響を与えることになる。気温27度、路面温度29度というコンディションの中でセッションがスタート。

No.100 RAYBRIG NSX-GTでは、まず伊沢拓也選手がコックピットに収まり、アタックへと向かった。いつもであればコースインのタイミングをぎりぎりまで見計らうところ、路面はやや乾き始めてはいるものの、いつ降り出しても不思議ではない天候という状況から、ほぼ全車がコースへと繰り出していく。伊沢拓也選手もすぐさまピットを離れてアタックを開始。だが思うようにタイムが伸びず、計測7周目のベストタイムは1分31秒641。これが13番手に留まることとなり、Q2進出を果たせずに予選を終えることになった。

朝からの流れを振り返った伊沢拓也選手。「朝の走行では、タイムを出したタイミングからしても、さほど悪くないのかという感じでした。その一方で順位的にあまり良くなかったので、予選に向けて色々やってもらったのですが、セッションを前に雨になってしまって…。でも、これまでウェットでの調子はいつも悪くなかったので、今回のような結果に甘んじることになるとは正直思ってもみませんでした。決勝できちんと追い上げる戦いができるよう、準備できることはやりたいと思います」と悔しさをにじませながら、決勝での挽回を誓った。

また、Q2での出走の機会に恵まれなかった山本尚貴選手は、不安定な天候によって公式練習中に消化できなかったメニューがあったことを明らかにした上で、「持ち込みのセットがあまり良くなかったため、修正しながらの走行になりました。クルマをもう少し煮詰めたかったのですが…」と現状を説明した。なお、チームでは翌日の決勝に向けて、すでにクルマの方向性を見直す作業に取り組んでいるとのこと。アジャストによる改善策を見い出すことで、レースでの躍進を目指すことになった。


決勝
 曇天模様が先行したサーキットの天候は、日曜日になると蒸し暑さが戻ってくる。早朝から強い陽射しとなり、熱風が吹き付けた。なお、チームでは前日の予選結果を受け、その後すぐさまセットアップの見直しを含めた作業に着手。決勝直前のウォームアップ走行で最終確認を行ったところ、ポテンシャルアップを確認。これにより、決勝での期待値が大きく膨らむこととなった。

一方、午後3時の決戦を控え、上空には不穏な灰色の雲が広がり始める。
そして、あろうことかスタート30分前に雨が降り始め、あっという間に路面をウェットへと変えてしまった。この急激な天候の変化を受け、GT500クラスの全15台のうち、3台をのぞく12台がウェットタイヤを装着。また、セーフティカー先導によるレースが幕を開けた。

ドライタイヤを装着する車両のペースが上がらないうちにポジションアップを果たしたNo.100 RAYBRIG NSX-GT。まず伊沢拓也選手がステアリングを握り、攻めの走りで周回を重ねていく。
そして路面が乾き始めた12周の時点でピットイン。ウェットからドライタイヤへと交換、併せて給油も済ませて再びコースへと向かった。

果敢な走りを見せる伊沢拓也選手。暫定7番手のポジションをキープし、順調に周回を重ねていく。
そして2度目のピットインを28周終わりで実施。タイヤ交換、給油、そして山本尚貴選手へのドライバー交代を行った。バトンを受け取った山本尚貴選手は暫定12位でコースに復帰すると、伊沢拓也選手同様に緩急ある攻めの走りを披露。終盤を迎えてもなお攻防戦を続け、61周目には8位まで浮上する活躍を見せた。

また、セミファイナルラップで前を走る1台がマシントラブルで後退したことから、No.100 RAYBRIG NSX-GTは7位でチェッカー。厳しい状況の中でも確実に結果を残すというタフなミッションを完遂している。

いよいよ残すところ、もてぎでの最終戦のみとなった今シーズン。納得のいく力強いパフォーマンスを披露し、シーズンを締めくくりたいと願うのは言うまでもない。


高橋国光総監督
 正直言って、レースではもっと苦心すると思っていたんです。ですが全体的に力がついてきたのでしょう、全体的にいい戦いができたと思いました。今回は、予選日と決勝日で大きくコンディションが変わりましたが、ウェットタイヤでスタートを切り、途中からドライタイヤを着けるという変化の多い展開の中で、13位から7位へと上手く順位を上げてくれました。ドライバーはもちろん、チームスタッフも一切ミスなくしっかりがんばってくれましたし、上出来の結果ではないでしょうか。レースは厳しい条件の中でこそ、しっかり戦うことがどれだけ大事か。今日はそれをやってのけたので、ぜひ最終戦のもてぎでも同じようにがんばってもらいたいですね。


山本尚貴選手
 予選では、持ち込みのセットを外してQ1を通過することができませんでした。チーム的にもどんよりとした雰囲気になってしまったのですが、それからエンジニアやスタッフが奮闘してくれてかなりの時間を要してクルマを見直してくれました。その甲斐あって、決勝前のウォームアップではしっかりといいクルマになっていたので、これなら、決勝で十分チャンスはあるなと感じました。雨が気になる中、ウェット寄りのセットでクルマを仕上げたこともあって、決勝中はウォームアップ走行時ほどのパフォーマンスにはならなかったのですが、それでもレースとしてはちゃんと戦えたと思います。あとは鈴鹿戦でピットでのタイムロスがあったので、今回はその課題をもってレースに挑んだんですが、今回のピット作業はとても素晴らしかったです。見事にクリアできました。

今日の結果を数字的に見れば、ポイント獲得を果たしただけのように見えるでしょうが、ポイントランキングを上げることができたし、また、結果以上に内容的にも満足できる戦いでした。途中、良いバトルができたのも、それができるクルマがあればこそ。

暑い戦いの中、限られた時間の中でみんなでいい仕事ができたと思います。もてぎでは、持ち込みの時点からいいクルマを用意して挑みたいと思います。進化を続けてきた集大成を見せられたらと思います。


伊沢拓也選手
 個人的には予選から決勝にかけて、気持ちをうまく切り替えるのが難しい状況にありました。内容がどうであれ、ドライバーとして結果をしっかりと責任を負わなければならないと常々思っているし、それを次の走りで取り返すことが仕事だとも思うので、決勝ではそれができた、取り返せたのではないかと思っています。それだけに、予選順位がもう少し良ければ、決勝結果ももうちょっと良かったのではないかと思うところもあります。

一方、決勝前の落ち着かない天候は僕らにとって味方にはなりましたね。それをうまく活かすことができました。予選日はウェットの走りがあまり良くなかったのですが、決勝日は悪くなかったし、改善できた部分があったのだと思います。少しでも多くのポイントを獲るということを形にできたのではないでしょうか。

 


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