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ROUND -6 2017 AUTOBACS SUPER GT Round6 SUZUKA GT 1000km RACE
序章
 8月26、27日、三重・鈴鹿サーキットにおいてSUPER GT第6戦「INTERNATIONAL SUZUKA 1000km RACE」が開催された。伝統ある1000kmレースも、今年が最後。
その舞台でNo.100 RAYBRIG NSX-GTは予選6番手からスタートを切り、荒れた展開の中で粘りの走りを見せ、3位でチェッカー。今季2度目となる表彰台に上がっている。

7月下旬にスタートしたSUPER GT「真夏の三連戦」。SUGO、富士と続いたタフな戦いも、ようやくこの鈴鹿で一旦ピリオドを打つ。シーズン中盤から後半戦のレースを消化する中、No.100 RAYBRIG NSX-GTはどちらかといえば耐え忍ぶ戦いを強いられてきた。一方、クルマのポテンシャルは速さや安定感が向上。それゆえにこの鈴鹿大会ではその成果を結果として欲しいところだ。
今年でラストとなる1000kmレースを見届けようと、予選日を迎えた鈴鹿には早朝から多くの観客がサーキットに集まった。この日、明け方に降った雨の影響でコースはセミウエット状態。雨はすっかり止んでいたがいわゆるダンプコンディションとなり、午前9時20分からの公式練習はウエット宣言下で行われた。
No.100 RAYBRIG NSX-GTはまず伊沢拓也選手がコースイン、ウエットタイヤのスクラブをはじめ、クルマのチェックさらにドライバー交代などを手際よく進め、路面の回復とともに本格的なメニューに取り掛かった。すっかりドライコンディションとなった後半、GT500専有走行に入ると山本尚貴選手がニュータイヤで予選のシミュレーションアタック。刻んだ1分48秒560がトップタイムとなり、手応えあるセッションを終えている。


予選:
 曇り空からすっかり夏空へと変わったサーキット上空。併せて気温、路面温度も上昇し、ノックアウト予選時には気温31度、路面温度37度のコンディションとなった。ノックアウト予選Q1のステアリングを握ったのは、山本選手。午前の走行終盤、ブレーキの調整やセット変更をしたことでクルマが改善。その時ドライブしていた山本選手が出走し、そのフィーリングを活かすのが良いというチームの判断からだった。ライバルとのタイミングを見計らってコースインした山本選手はアタックラップで1分47秒576をマーク、トップでQ1を通過する。

そして迎えたQ2。気温、路面温度ともに若干下がる中、伊沢選手がアタックに向かう。午前のセッションでニュータイヤでのアタックシミュレーションをしておらずいきなりの本番となるため、8台の出走車両の中で早めのコースイン。アタックラップで6番手のタイムとなる1分48秒202をマーク、No.100 RAYBRIG NSX-GTは決勝レースを3列目からスタートすることとなった。

予選を振り返り、山本選手は「理想のアタックができた」と納得顔。「公式練習の流れから調整したクルマの調子がすごく良く、いいアタックができました。トップで終われたのでいい仕事ができたと思います。
6番手スタートなのでチャンスは十分ある。優勝目指してがんばります」とコメントした。

一方、朝の走行からブレーキの問題が気になっていたという伊沢選手は、自らのアタックを振り返り「アタックのタイミングでちょっとミスが出ました。ベストの周、シケインの出口で止まりきれなかったんです」と説明。「山本選手がQ1をトップで繋いてくれたので、期待値も含めQ2の結果はとても残念」と悔しさをにじませたが、決勝に向けて気を新たに躍進を誓った。


決勝
 前日よりも強い陽射しが照りつける天候になった決勝日の鈴鹿。SUPER GTのシリーズ戦で開催される最後の鈴鹿1000kmには、4万5千人ものファンが訪れ、熱戦を見届けることになった。

決勝直前のウォームアップ走行を経て幕を開けた173周の戦い。No.100 RAYBRIG NSX-GTにはまず伊沢選手が乗り込み、最初のスティントがスタートする。気温30度、路面温度47度という厳しい条件の中、前後車両との攻防戦を繰り広げつつ、タイヤマネージメントにも留意しながらポジションキープで周回を重ねていく。
チームではまず28周終了時に1回目のピットインを実施。上位争いの車両が次々とピットインしたこともあり、山本選手へスイッチ後は僅差の中でポジション争いが再開した。

43周目、最終コーナー立ち上がりでGT300車両がコースアウトしてガードレールに追突、このアクシデントでセーフティカーがコースイン。隊列を整えるなど、約20分に渡りレースがコントロールされる。

リスタート後、山本選手は差が詰まった前方車両へ果敢にアタック。130Rからシケインを勝負どころに23号車GT-Rを逆転し、5位に浮上するとその5周後となる58周終わりで2回目のピットインを迎えた。この時、同じタイミングでピットインした後続の6号車LC500にコース復帰で先行を許したが、2度目のスティントを迎えた伊沢選手は着実なレース運びを行い、安定感ある走りを披露している。

レース折り返しを迎えた87周の時点で、No.100 RAYBRIG NSX-GTは3度目のピットイン。上位陣は少しずつルーティンのタイミングをずらして作業をしていたことから、コース上での僅差の戦いに限らず、目に見えないライバルとの戦いもあり、緊張感あふれる展開となっていく。すると、トップ走行94周目時、130RでGT300の車両がコースアウトしてスポンジバリアにヒット。ここで今大会2度目のセーフティカー導入となる。これでペースダウンした各車両が隊列を整えて走ることになり、ライバルとの差が縮まる。山本選手はリスタートをチャンスとばかり、103周目の再開後から果敢に攻めの走りを披露。130Rからシケインで、あるいは最終コーナーからメインストレートで、さらにはデグナーで、と緩急自在の走りでポジションアップに成功。見せ場を作り、場内を沸かせた。

4度目のピットインは116周終了時。3番手争いに身をおいていたNo.100 RAYBRIG NSX-GTは、伊沢選手がテール・トゥ・ノーズを凌ぐ活躍で表彰台争いの一角を死守。終盤に向けてライバル達の中にはミスやトラブルなどで後退する車両も現れ始めたが、No.100 RAYBRIG NSX-GTは安定した走りで過酷なポジション争いに挑み続けた。

そして迎えた最後のピットイン。142周を終えてピットへ戻った伊沢選手から山本選手へ最後のバトンが引き継がれる。スムーズなピット作業を終え山本選手がコースに向かうと、その5周後にはほぼ全車が最後のピット作業を終了。

ここからチェッカーに向けての最終決戦が始まった。まず5位で走行を続ける山本選手の前を走る19号車LC500をシケインで逆転、次なるターゲットを1号車LC500に絞った。

午後6時を迎えた1000kmレース。前の1号車との差は僅か0.2秒。山本選手は再三シケインで仕掛けるも、逆転には至らず。だが、諦めることなくタイミングをずらして”その時”を待った。そして165周目、シケインで挙動を乱した1号車の隙を突いて横並びになると、メインストレートを通過するときにはついに単独3位へと躍り出た。

その後、チェッカー目指し、3番手で周回を重ねたNo.100 RAYBRIG NSX-GT。 実のところ、最後のスティントでドリンクボトルにトラブルが出て、山本選手は水分補給ができなくなっていたのだが、チームには何も伝えず懸命の走りを敢行していた。

なお、レースは2度のセーフティカー導入もあり、予定の173周を消化できないことから規定の午後6時28分をもってファイナルラップが宣言され、No.100 RAYBRIG NSX-GTはこのまま3位でフィニッシュ! 第3戦オートポリスに続く今季2度目の3位表彰台を手にすることとなった。


高橋国光総監督
今回は、タフな環境の中、ふたりとも懸命の走りを見せてくれました。いいレースでした。「プロのドライバーなのだから、ステアリングを握ったときにはいつも今日できるベストの走りをしなければいけない」とドライバーには言いましたが、よくがんばりました。

もともとSUGO戦からいい状態にあったのですが、ツキがなかったんです。でも今回は、ドライバーがいい状況を自身で作り上げて戦いました。結果、クルマが言うことを聞いたという感じです。今日は優勝こそできませんでしたが、3位で十分と思える仕事をしてくれました。仕事を全うしてくれたと思います。


山本尚貴選手
 最後のスティントでドリンクの接続部のジャックが割れてしまい、飲めなくなってしまいました。トレーナーから適量を飲むよう言われていたのにそれができなくなって、喉がカラカラの状態で乗っていました。今回、クルマがすごく良かった一方で、気温、路面温度が当初の想定以上に上昇したので手持ちのタイヤで戦うのは辛かったです。まず、伊沢選手のスティントではタイヤの内圧が良くなかったので、僕のスティントではその情報をもとに内圧を調整しました。伊沢選手が的確な情報をくれたからいい走りにつながりました。一方でピットインではなぜかタイミングが良くなく、ポジションを下げることもありました。

レース中はなかなか状況がつかめず、とにかく自分ができることは前にいるクルマを抜くだけ、という思いで目の前のクルマを冷静に追いかけていました。反省すべき点は、最後のスティントで1号車に長い間引っかかっていたこと。1号車とは2スティント目で同じような状況になり、シケインで仕留めていたんです。なので、最後は向こうも応戦してきました。

今回、クルマはスプーンから130Rにかけてすごく調子が良く、シケインでオーバーテイクできていたので、今回の勝負どころでした。でも、最後は決め手に欠けたので最終コーナーのブレーキでアプローチしました。

成績だけを見れば、チームやATJのスタッフに表彰台をプレゼントすることはできてとっても良かったのですが、ドライバーとしては内容的に勝てるスピードとポテンシャルがあったのに勝てなかった、という悔しさのほうが強いです。一方で、自分の力は出し切れたと思うので、残り2戦でも力を出し切れるようチームの力を借りながらがんばりたいです。


伊沢拓也選手
 今回、山本選手がすごく追い上げてくれました。僕のルーティン中はクルマのペースは悪くなかったのですが、(ルーティン後の)ピットアウトで出る場所があまり良くなかったりすることが重なりました。うまくいかないタイミングが多かったですね。ただ最後のスティントでは3位争いの中で走ることができたので、いい状態で山本選手にステアリングを渡すことができました。あとは彼のがんばりに尽きると思います。

今回、1000kmという長い戦いでチームもドライバーも、本当にミスなくやれたので、それが良かったし、3位になることができたと思います。今回もセーフティカーが出ましたが、そのときも山本選手ががんばってくれたのはうれしいんですが、その一方で、僕自身は完璧な仕事ができたのかといえば正直そうじゃないなと思うところもあるので、うれしいような悔しいような3位ですね。でも結果も大事だし、とにかく次に繋がる戦いができたので良かったと思います。

 


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