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ROUND -4 2017 AUTOBACS SUPER GT Round4 SUGO GT 300km RACE
序章
前回の戦いからおよそ2ヶ月のインターバルを挟んだ7月22、23日、宮城・スポーツランドSUGOにおいてSUPER GT第4戦「SUGO GT 300km RACE」が行われ、予選2位からスタートを切ったNo.100 RAYBRIG NSX-GTは、レース序盤にトップを奪取して独走態勢を築いたが、再三にわたるセーフティカーランにより勝機を逸し、9位で戦いを終えている。

 オートポリス戦の後、SUGO、鈴鹿でのSUPER GT公式テストに参加したチームクニミツ。第3戦で掴んだいい流れをこの大会でも活かしたいところ。また、このSUGOを皮切りに始まる「真夏の三連戦」の結果がシリーズ戦のキーポイントとなるだけに、チームとしては着実な戦いを目指すこととなった。 梅雨明けが待たれる東北地方。しかしながらすでに強い陽射しが照りつけた予選日のSUGO。湿気も高く、厳しい暑さとの戦いが朝から始まった。練習走行でNo.100 RAYBRIG NSX-GTはセットの確認や予選に向けてのタイヤ選択に取り組んだ。セッション中、2度にわたる赤旗中断があったが、序盤から上位につけていたNo.100 RAYBRIG NSX-GTは、最終的に伊沢拓也選手が1分12秒796のタイムを刻み、8番手で走行を終了した。


予選:
 午前の照り返しもどこへやら、午後に向けて急激に灰色の雲がサーキット上空を包み込む。公式練習には気温30度超、路面温度は42、43度あったコンディションも気温28度、路面温度36度まで下がり、ひと足先にアタックが始まったGT300クラスはウエット宣言下での走行となった。

Q1におけるNo.100 RAYBRIG NSX-GTのアタッカーは、伊沢選手。GT500クラスの全15台はセッションが始まってもピットで待機、幸い薄曇りながら降雨の可能性も少ないからか、どのチームもワンチャンスのアタックに賭けたようだ。結果、残り8分を切って続々とコースインが始まり、伊沢選手は最後にピットを離れ、アタック開始。1分11秒869の好タイムで5番手につけ、Q2進出に成功した。

Q2アタックに駒を進めたNo.100 RAYBRIG NSX-GT。担当する山本尚貴選手を含め、全8台がやはりピットでしばし待機していたが、残り7分の時点でアタック合戦が幕を開けた。事前にQ1での状況、 クルマのコンディションをインプット、さらに伊沢選手からの得たインフォメーションをもとに、タイミングを上手く合わせた山本選手は1分11秒469をマーク、2番手でアタックを終えた。

前回のオートポリス戦、そして今回のSUGOと速さをアピールしたNo.100 RAYBRIG NSX-GT。実のところ、テストではピット作業が予定以上に長引くこともあり、存分な走り込みができていなかったが、予選で伊沢、山本両選手が持ちうる力を存分に引き出したパフォーマンスを披露したことで、チームの士気も一層上昇することとなった。

予選後、伊沢選手は「テストで走り込めず、調子に対して不安があったので、正直ここまでよくなるとは思っていませんでした。でも今日の走り出しからクルマはちゃんと調子が戻っていたし、セットアップもうまく進み、Q1、Q2でいい予選ができたと思います。明日は天候含め、いろいろ難しいレースになるでしょうが、最後まできちんと走ればいい結果が待っていると思うし、気持ちとしてもホッとしています」と安堵しつつ、オートポリスでやり残したミッションに向けて、その実現のために気を引き締めていた。また、Q2で好走を見せた山本選手も、伊沢選手同様に、テストでのトラブルが気になっていた様子。

 だが、「SUGOでは(トラブルが)解消されていて安心できたし、テンポよくセットアップ作業を進めることができました」といい流れの中で予選を進めることができたとした。また、結果に対しては「正直2番手まで行けると思わなかったので、嬉しかった」と笑顔を見せる一方、オートポリスで逃した勝利に対し、「予選2番手を獲得したことで、今回勝ちたい気持ちが改めて強くなりました」とリベンジを誓った。気になる天候に関しては「天候を見ると、前方からスタートできるのはかなり有利だと思うので、その有利性を活かしたい」と奮闘を誓った。


決勝
 決勝日の朝を迎えたSUGOは、さらに濃い灰色の雲が広がり、午前中からところどころで雨が降っては止むという不安定な天候となる。午後2時30分からの決勝を前に、一旦は晴れ上がったかに思われたが、午後1時を前に始まったウォームアップ走行ではウエット宣言が出され、レースウィーク初のレインタイヤ装着による走行が続いた。このセッションでもコースアウトする車両が出て赤旗による中断があり、近づく決勝に向けて、落ち着かない空気が漂うこととなった。

ダミーグリッド上の車両は、スリックタイヤ、ウエットタイヤを装着する車両で分かれた。ギリギリまで上空を睨む中、宮城県警のパトロールカー3台によるパレードラップが近づく。No.100 RAYBRIG NSX-GTの足下はウエットタイヤを装着、そのステアリングを山本選手が握り、81周にわたる戦いが始まった。

パレードラップ、フォーメーションラップを終えたGT車両。この間、上空からは待ってましたとばかりの勢いで雨が降り始める。オープニングラップ、先頭に追いつく勢いを見せた山本選手。しかし、その後方から同じNSX勢の16号車もペースアップ、馬の背からSPで一度先行を許してしまった。だが、最終コーナーの立ち上がりで16号車を逆転。ストレートスピードを活かし、前を行く8号車NSXの背後につけると、ハイポイントコーナーで逆転に成功。トップを奪取した。

今回、予選でトップ3を独占したNSX勢。決勝でも車両は変われどNSX勢優位という流れは変わらず。緊迫した戦いが続く中、山本選手は1周毎に2位との差を広げ、コツコツとマージンを構築し始める。ところが5周目、GT300車両の2台がそれぞれ別の箇所でクラッシュやスピンを喫し、セーフティカー(SC)が導入される。11周目にはレース再開となり、ここでも問題なく2位を抑えることに成功した山本選手は引き続きトップのまま周回を重ね、22周を迎える頃には後続に対し、10秒超の差をつける見事な走りを見せた。

ところが40周目、後続の車両が最終コーナーでコースアウトの末にタイヤバリアへ追突。これを機に、SCが2度目のコースイン。あろうことかNo.100 RAYBRIG NSX-GTは15秒ほどあったマージンを奪われてしまう。まさにドライバー、チームの闘志を削ぐような出来事に見舞われることになったが、山本選手は集中力を切らすことなく、2度目のリスタートも無事に果たし、次なるステージでの戦いに挑むべく、スイッチを入れ直した。その頃、このリスタートをもってルーティンのために上位争いの車両5台が続々とピットイン。さらに翌周には2台が続く。するとそのタイミングでGT300車両同士の接触、さらにコースアウトと多重のアクシデントが発生。なんと間髪おかず、3度目のSCランとなる。

一方、このSC導入は、No.100 RAYBRIG NSX-GTにとって悪夢の始まりとなってしまう。トップ走行中のNo.100 RAYBRIG NSX-GTから4位までの車両がまだピットインを終えていなかったが、ルーティン作業を行うことはポジションダウンを意味するだけでなく、すでに同一周回となっていた他車2台に、勝利の機会を与えてしまうことを決定づけることにもなってしまった。突然、チームクニミツに突きつけられた不運。また、山本選手は力走という努力が吹き飛び、ただただ悔しさの中で戦うことを強いられた。3度目のリスタートを機にピットへと戻ったNo.100 RAYBRIG NSX-GTは、その思いを汲んだ伊沢選手がバトンを受け取り、ピットを離れる。

雨も上がり、スリックタイヤでの走行が可能となったコース上で、伊沢選手は混乱するポジション争いを展開。終盤、前をいく64号車NSXを4コーナーで逆転。8位に浮上し、またその直後にはチームベストとなるラップタイムをマーク。見えない敵との戦いは極めてタフなものだったに違いないが、最後の最後まで諦めない姿勢を貫いたが最終ラップに300クラスと接触。No.100 RAYBRIG NSX-GTは9位でレースを終えるという信じがたい結果に終わったが、これもレース。まずは現実を受け止め、次の富士戦に気持ちを切り替えて再度高みを目指す所存だ。


高橋国光総監督
なんの言葉もないですね。ただ言えることはクルマそしてドライバーがなにひとつ反省をすることなく、すべてやりきったということです。SCがあれだけ出た原因を反省しなさい、といってもできることはありません。ただただ仕方ないことなんです。けれど、レースに負けたということが本当に悔しいですね。あれだけマージンを作ったのに、何度もリセットされたわけですから。せっかくドライバーが一生懸命やってるのに…。
山本、伊沢の両選手には声もかけられない、と思いましたね。それでもドライバーふたりはあれだけのパフォーマンスを見せてくれたのだから、よくがんばったと思います。この悔しさをバネに、次のレースでしっかり活かしてもらいたいし、そうしなければなりませんね。


山本尚貴選手
何度もSCが出て、とても複雑な心境でした。前半のペースも良かったのですが、その一方で、こうなることもある程度予想できていました。ただ、ルーティンのピットインをするには僕らは動きにくい状況だったと思います。ピットインのタイミングに関しては、チームと無線でずっとやりとりを続けていました。でも2回目のSCランになって、トップを走っている中でピットインするリスクはかなり高かったし、(その直後に3回目の)SCが入ったので(先に)ピットインしているクルマが有利になったというだけで…。今回は、僕らがちょっと速く走れたがゆえに招いてしまった結果という感じです。

レースウィーク中、クルマはペースが良かったので得るものもあったし、次に繋がるものも見つかりました。とはいえ、二度と同じレースはできないので、(勝てる権利があった)このレースで勝たないと意味はないですね…。でも、遅いクルマが勝てるはずもないから、まず速いクルマを用意し、努力を続けていれば結果は報われると思っています。今年に入ってからはどんどんクルマも良くなってきているし、新しい体制になってチームもうまく機能しはじめていると思います。ただ結果がついてきてないだけで。速さがだんだん形にあらわれているので、それをしっかりと形に結びつける力強さというものがこれから備われば、いい結果が出るかなと思っています。みんな一生懸命がんばっているし、準備もしているし、くさらずにがんばり続けようと思います。


伊沢拓也選手
 先にドライブした山本(尚貴選手)のスティントはいい走りだったし、マージンも築いていたのに、SCの導入で台無しになってしまいました。一方、僕もピットアウトしてから、タイミング的にちょっと上手くいかないときがあったり、最終ラップではGT300車両との接触もあったので、正直悔しい結果になりました。思うのは、こういう状況になっても、もう少し上の順位を獲ることもできたのではないかということ。なので、次のレースでいい結果を取り返すしかないですよね。

レース中、いろいろと起こるのがこのSUPER GTのレース。でもそれを嘆いても悔やんでいてもしょうがない。その中で勝つチームが1台いるわけですから。その1台になれるよう、またがんばればいいだけ。今回は予選前からいい流れがあったので、次の富士にも繋げられると思っています。

 


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