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ROUND -3 2017 AUTOBACS SUPER GT Round3 AUTOPOLIS GT 300km RACE
序章
 5月20、21日、大分・オートポリスにおいてSUEPR GT第3戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」が開催された。昨年は熊本地震の影響でイベントが見送られたため、オートポリスでのレースは2年ぶりとなる。絶好の天候に恵まれる中、No.100 RAYBRIG NSX-GTは、今季初となるポールポジションを獲得。決勝では激しい攻防線を繰り返し、3位表彰台に立った。

 前回の富士戦は500kmの長丁場。結果を出すために着実なレース運びを心がけ、6位フィニッシュを遂げたチームクニミツ。それからわずか2週間ほどで迎える第3戦オートポリスは、タイヤメーカーテストを行った場所であり、そのデータを有効に活かしたいところだ。

  阿蘇外輪山の中腹に位置し、最大標高差52mというアップダウンに富むコースは攻め甲斐もあり、見どころも多い。2年ぶりのSUPER GT開催を心待ちにしていたレースファン、なによりもホンダファンにニューマシンNSX-GTの勇姿を披露する絶好のチャンスでもある。まず、朝の練習走行でNo.100 RAYBRIG NSX-GTは序盤から安定して上位に名を刻み、好調さをアピール。セッション中に、気温は18度から24度、さらに路面温度は25度から39度まで上昇したが、その中でも変わらぬ速さを見せ続けた。山本尚貴、伊沢拓也両選手ともセットのフィーリングを確認しながら調整を続け、そして、終盤にはニュータイヤを装着した山本尚貴選手が1分33秒783をマーク。結果、No.100 RAYBRIG NSX-GTはトップでセッションを終えている。


予選:
 午後に向けてさらに陽射しが強くなったオートポリス。初夏を思わせる天候の中、まず午後2時にノックアウト予選・Q1がスタート。気温26度、路面温度46度と、ともに午前から大きく上昇した。

 No.100 RAYBRIG NSX-GTのステアリングを握ったのは、伊沢選手。今シーズン初めてのタイムアタックとなる。15分のセッションながら、コースインのタイミングを探り合う各チーム。結局、伊沢選手は全15台のラストを飾るようにコースイン。計測2周目から早くも1分39秒台に入れ、アタックへのいい流れを築いた。そしてアタックラップで刻んだタイムは1分34秒333。2番手に0.629秒という大差をつけるトップ通過を果たした。

今季初のQ2進出を果たしたチームクニミツ。午後2時45分からのQ2では当然、山本選手がアタックを担当する。気温、路面温度ともQ1時より若干低くなったが、依然として強い陽射しがコースを照りつけている。満を持してアタックラップに入った山本選手は、計測3周目にトップタイムとなる1分33秒740をマーク。先にアタックを終えた伊沢選手同様、山本選手もまた2番手に0.591秒の差を築く躍進を見せた。

今季初、そして山本選手自身さらに山本、伊沢両選手コンビとして初めてポールポジションを手にしたチームクニミツ。これは2008年第6戦鈴鹿以来のこと。一歩一歩、着実な前進と緻密な改善を積み重ねた結果が、今回のポールポジション獲得へと繋がったといえる。

予選後、高橋国光総監督は「今回は完璧なポールポジション。ドライバーふたりが完璧な走りをしていたし、スタッフがそれぞれの立場からポールを獲れるクルマを準備してくれた」と笑顔を見せた。そして自身初のポールシッターとなった山本選手。朝の公式練習後、予選に向けてクルマはほとんどセット変更を行わなかったとした上で、「Q1でアタックした伊沢選手から聞いたアドバイスを頭に、アタックできた。ふたりのドライバーとチームのみんなで獲れたポール」と喜んだ。また、「頑張ってポールを獲れたので、達成感がある。決勝も2番手とのタイム差を見ても十分チャンスがあるし、有利だと思うので、うまくマージンを作って伊沢選手にバトンタッチしたい」と決勝に向けての意気込みを口にした。また、伊沢選手は「いい流れをQ1でも続けて、山本選手に絶対に繋ごうと思った。2番手といいタイム差をつけてバトンを渡せてうれしい」と安堵する一方、「Q2でも山本選手が頑張ってくれてポールを獲れたので、決勝もいい状況の中でしっかり結果を出すことが大事」と表情を引き締めた。


決勝
 決勝日も心地よい山間の天気に恵まれたオートポリス。澄み渡る青空の下、午後2時からの決勝を前に、午前中はピットウォークやトークショーなどファン交流のイベントが続いたが、その中で山本、伊沢両選手はリラックスした表情を見せつつ、次第に決勝に向けて士気を高めていった。

迎えた午後2時。決勝セレモニーの後、県警の白バイ、パトカー先導によるパレードランを経て、フォーメーションラップがスタート。その後、オープニングラップからハイペースでの戦いとなったが、スタートドライバーを務めた山本選手は後続をシャットアウトしてトップをキープ。その勢いのまま、4周目には2位との差を約6秒へと広げた。予選同様、決勝でもいい流れを意識するかのようなレース運びを見せていた山本選手。だが、その翌周に思わぬハプニングが発生する。 

レース5周目、最終コーナーひとつ手前のT17でNo.8 NSX-GTがスピン。これを回避しきれずGT300車両が8号車に衝突。さらにこれを避けようとした別の後方車両もアクシデントに巻き込まれ、コース上にはたくさんの破片が散乱する。これを受け、セーフティカーがコースイン。山本選手が築き上げたマージンを一瞬にして消し去ってしまう。まさかの展開ながら、平常心を保ちながらSCランを重ねた山本選手。14周目にレースが再開すると、2位以下を引き離すべく、再びペースアップ。一方で2位以下も縦一列状態でポジション争いを展開、No.100 RAYBRIG NSX-GTの背後に2台のレクサスLC500が忍び寄った。山本選手は1秒を切る僅差の中、高い集中力で後続車を掌握。トップ死守のまま33周を走り切り、ルーティンのピットインを迎えた。

伊沢選手へとスイッチ、さらにタイヤ交換、給油を終えてコースへと向かったNo.100 RAYBRIG NSX-GT。だが、同時ピットインのNo.1 LC500がひと足先に作業を終えてコースへ復帰。逆転を許す。この後、上位陣のピットインが終わると、No.100 RAYBRIG NSX-GTは3番手からの追い上げを開始する一方、4番手に浮上したNo.17 NSX-GTとのバトルを強いられる。伊沢選手は、サイド・バイ・サイドの攻防戦を何度も凌いだが、53周目、ペースに勝る17号車が先行。一方、トップ争いをしていた2台のレクサス同士がレースアクシデントを起こし、1台が後退。伊沢選手は再び3番手でレース終盤の戦いに向かった。この頃にはタイヤのピックアップも深刻化。思うようなペースを確保できず、さらにNo.46 GT-Rが背後から猛追する厳しい状況下での走行が続いたが、絶妙な駆け引きを見せてこのまま3位でフィニッシュ! No.100 RAYBRIG NSX-GTが今シーズン初となる表彰台の一角に立つこととなった。

 シーズン序盤の締めくくりでもあるオートポリス戦で3位を手にしたチームクニミツ。確信していたいい流れを形に出来たことは大きな収穫でもある。一方、よりシビアになる選手権争いに向けて今後どのような戦略で挑むのか、新たなステージでのアプローチが求められる。第4戦SUGOを前にした公式テストで、しっかりと方向性を定め、上昇気流を維持すべく、邁進する。


高橋国光総監督
今年は開幕から2戦続いて不安に思うことがあったので、正直、今回も心のどこかで心配がありました。一方で予選でのドライバーふたりによる見事なアタック、それを支えたチームのがんばりはすごかったと思うし、満足できるものでした。レースというものはつねに色々なことが起こり、思うような戦いができなくなります。今回、うちのチームもSCカーが入ったり、タイヤのピックアップがあったり、本来のドライビングができない状況になりました。でもその中でそれぞれがよく踏ん張ったと思います。なので、今回はいいレースだったのではないでしょうか。
ようやく速さを証明し、バトルをお見せできるクルマになりました。次に繋がる一戦だったと思います。信頼性を取り戻したクルマをオートポリスのお客様にお見せできたことはうれしいこと。チームのみんなには、今日の経験を次に活かしてもらい、がんばってもらいたいですね。私自身もオートポリスのレースにはゆかりがあり、相性がいいところです。今回もここでいい結果をお見せできて良かったと思います。


山本尚貴選手
今日は、スタート直後がカギになると思っていたでまずプッシュし、いいギャップを作りました。それができたので、そのまま自分のレース展開に持っていけると思ったのですが…。
でもセーフティカーが入ってしまい、しかもその原因が同じホンダ勢だったので悔しいです。でもこれもレース。SC後は、ペースが思うように上がらず、もしかすると走行中に色んなものを拾ってしまったかもしれません。それで結果的に後方から追い上げられて、突っつかれてしまいました。後半担当の伊沢選手もがんばってくれましたが、どうしてもタイヤ的にはきつかったと思います。でもそこで最後まできっちりがんばってくれて、堪えてくれて、今日ここで表彰台に上がれたのはうれしいです。もちろん、同じホンダの17号車が前にいるのは悔しい。でも、表彰台に2台のホンダが上がれたという意味は大きい。ここから反撃です。今なおレクサス勢が速いので、僕らが早くキャッチアップできるよう、またみんなとともにがんばります。

伊沢拓也選手
 悔しいですね。ピットインのときには一応、山本選手からトップでバトンを渡してもらったわけですから。もっとペースが上がっていれば、今日は違った順位だったと思うんです。でも、どうやってもペースを上げることができなかった。やはり基本的にはタイヤのピックアップがありました。でもその一方で、そうじゃない状態で走っている人がいたわけだし…。なので、ここは言い訳することなく、自分がうまく対処しなきゃいけないことなのだと思います。今日は結果として、チームとして最低限の仕事として表彰台を確保することができましたが、自分としてはいいレースだったとは言えません。本当に悔しい結果です。  


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